スイスでは、26州のうち主に20州で盛んにブドウ作りをしています。
ブドウ栽培の面積は約150平方キロメートル。
主に次の州でさかんに作られて います。
ジュネーブ州、ヌシャテル州、ヴォー州、
ティチーノ州そしてヴァレー州。
なんとブドウ作りは紀元前のローマ時代に遡ります。
私達が住むヌシャテル州のワインの生産量は一年で、
白ワインは平均170万5千リットル、赤ワインは155万リットル。
この量を東京ドームを升にして説明すると、白ワインと赤ワインは
升の4割程度の生産量という事になります。
ブドウの品種は白はシャスラー。次にシャルドネ、ピノグリ、
そしてわずかながらソーヴィニョンブランなどがあります。
赤はピノ•ノアール。他にもガマレとガラノアーがあります。
冬は葡萄作りをする人にとって一番大事な時期でもあります。
それはおいしいワインができるかはこの時期に左右されるからです。
まず幹から出た枝を丹念にカット。これはたわわに実をつけた葡萄の枝は、疲労が激しいので、次の収穫に向けてゆっくり休んでもらう為です。
カットされた枝は処分せずに、機械などで粉々にして再び肥料として畑に蒔きます。
来年のために、最高の果実を作る為にすることがこのような作業をします。
後は、一本一本葡萄を点検して、修理が必要な植物があったら違う葡萄の品種を植え替えたりして春を待ちます。
3月にはブドウの枝をパリサージュ【支柱】します。剪定方法、支柱、自然堆肥の供給、労働、耕作法など全てが、ブドウの木とブドウに素晴らしいワインを生み出す為の条件となっています。
春の始めもに支柱を続けます。一般的にスイスは3月21日から春といいます。
4月の中旬からコンフュージョン セクショアル(confusion sexuelle)
という作業になります。これは葡萄に寄生する虫をよせつけないようにするにおいを【赤い布】至る所に取り付けます。蛾の♂がこのにおいを嗅ぐと♀の居場所
が拡散されて交尾が難しくなるそうです。
コンフュージョン セクショアル
コシリス
エーデミス
卵から孵化した幼虫が葡萄を食べている
5月の初旬は葉が赤くなる病気を防ぐために薬を撒きます。
5月の中旬になると、去年伸びた枝から新芽が出てきて、その伸びた新芽の先につぼみができているところです。一枝にいくつも芽を付いている場合は、適度に取り除きます。欲張り過ぎると、逆に実付きが悪くなるからです。
薬の散布は毎2週間ごとに行われます。葉が赤くなる病気の次に注意するのは、べと病や、うどんこ病です。
5月の終わり頃になると、ぶどうの側枝が50cmぐらいに伸びてきます。その伸びた部分を支えるために針金に通します。 どんどん伸びてくるたびにこの作業を続けます。大体4〜5回ぐらい。
こうすることによって、葡萄の中で作業をする人にとって働きやすくなりますし日当りや風通しもよくなります。
6月の中旬頃、だんだんと成長するにつれて劣化したものや成長の悪いもの、病害虫にやられたものは間引いておきます。
害虫予防の薬の散布も8月15日で終わりを迎えます。【7月の下旬に1度だけ腐敗病の薬を撒きます】
夏の主な作業は伸びてきたツルをカットしたり、葡萄の房の成長を妨げる大きな葉を取り除いたりします。風通しや日当りを収穫期まで十分に気をつけてあげます。
夏の終わりの頃には、写真のように鳥や蜂の一種【ゲップ】から葡萄を守るために網をはります。特にこの時期に葡萄の粒に鳥のクチバシや蜂に穴を開けられたら甘くならずに酸っぱくなってしまうからです。
バンダーンジュという収穫を迎えます。この時期は葡萄の農家では猫の手を借りたいぐらいに忙しい季節となります。バンダーンジュは大体葡萄の花が開 花してから100日後が目安とされます。今年2010年は10月4日でした。約2週間続きます。普段週休2日制のスイスでもこの時期だけは、土曜日曜も働 きます。大きなワイナリーでは季節労働者を外国から呼んでいます。両親が働くオベルニエーのワイナリーでは毎年東欧からたくさん働きに来ています。朝8時 から夕方5時まで簡単な昼食付き。